最近はあまり見かけなくなりましたが、1月6日の夜に歌いながら七草粥を準備をするという風習があります。
その時に歌われる歌は「七草なずな」や「七草囃子(ななくさばやし)」と呼ばれる日本の民謡・わらべうた。
実はこれら七草の歌には地域によっていろんな歌詞があるのをご存じでしょうか。
そこでこの記事では、全国各地の代表的な歌詞のバリエーションをご紹介していきます。
歌詞の意味や由来なども併せてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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もくじ
地域別の歌詞【七草粥の歌】
「東北地方」の歌詞【七草粥の歌】
「秋田県」の歌詞【東北地方】
- 唐土の鳥と 田舎の鳥と 帰らぬうちに なにたらたら せりたらたら
- たんたらたたき たらたたき 唐土の鳥も 田舎の鳥も 渡らぬ先の たらたたき
「宮城県」の歌詞【東北地方】
- 七草ただげ 七草ただげ 七草なずな とうどの鳥と いなかの鳥と 通らぬ先に 七草ただげ
- 七草叩け 唐土の鳥の 渡らぬ先に 七草叩け
- 叩く叩く 七草叩く 唐土の鳥と 田舎の鳥の 騒がぬ先に 七草叩く
- 唐土の鳥と 田舎の鳥が 渡らぬ先に 七草叩く 七草叩く
「関東地方」の歌詞【七草粥の歌】
「栃木県」の歌詞【関東地方】
- 七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥と 渡らぬうちに すととんとんとんとん
- 七草なずな 菜っきり包丁 まな板 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に 合わせてバッタバタ
「群馬県」の歌詞【関東地方】
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の土地へ 渡らぬ先に はしたたけ はしたたけ
「埼玉県」の歌詞【関東地方】
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の空に 渡らぬ先に 七草なずなのセリ叩く
- 七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥が 渡らぬ先に ストトン ストトン ストトン
「東京都」の歌詞【関東地方】
- 七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥が 渡らぬさきに ストトン トントン
「中部地方」の歌詞【七草粥の歌】
「新潟県」の歌詞【中部地方】
- センタルタタキ カラタタキ 宵の鳥も 夜中の鳥も 歌わぬうちに はよ叩きましょう
「長野県」の歌詞【中部地方】
- 七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥と 合わせてバッタバタ
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の橋を 渡らぬ先に スットントン ストトン
「山梨県」の歌詞【中部地方】
- 七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥と 渡らぬ先に あわせてこわせてバッタバッタ
- 唐土の鳥と 田舎の鳥と 日本の橋を 渡らぬ先に パサパサパサパサ つん舞った
「静岡県」の歌詞【中部地方】
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に 合わせてバタバタ 合わせてバタバタ
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ヒョウゴの国に 追い越せ追い越せ ストトントン
「富山県」の歌詞【中部地方】
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬうちに はし叩け はし叩け
「愛知県」の歌詞【中部地方】
- 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に 七草なずなのせり叩き
「福井県」の歌詞【中部地方】
- 七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥と 渡らぬ先に 七草なずな
「近畿地方」の歌詞【七草粥の歌】
「滋賀県」の歌詞【近畿地方】
- たんたんたらふく 祇園の鳥と 八坂の鳥と
「三重県」の歌詞【近畿地方】
- なずな七草 唐土の鳥が 日本の土地を 渡らぬ先に かけおてバタバタ かけおてバタバタ
- 七草何草(ななくさなくさ) 唐土の鳥が 渡らぬ先に 垣をして かたかたかた
「京都県」の歌詞【近畿地方】
かんこの鳥は 日本の土地へ 渡らぬ先は 七草はじかみ 七草はじかみ
「奈良県」の歌詞【近畿地方】
- 七草なずな 唐土の鳥と とんとの鳥が 日本の土地へ 渡らん先に 海より先に 打ちよてバタバタ 掛け寄てバタバタ
「大阪府」の歌詞【近畿地方】
- なんなん七草 鳳凰の鳥は 知らぬ国から渡らぬように てってんててろ てってんててろ
- 唐土の鳥が 日本の土地へ 渡らぬ先に 七草なずな
「和歌山県」の歌詞【近畿地方】
- 鳳凰の鳥が 日本の土地へ 渡らんまぁに かけあえ かけあえ
「中国地方」の歌詞【七草粥の歌】
「鳥取県」の歌詞【中国地方】
- さぁー トントン シャン 唐土(たいど)の鳥が 日本の土地に 渡らぬ先に ピストル差して 七草そろえて はんにゃ ほいほい
- 唐土(たいと)の鳥と 日本の鳥と 唐土の鳥は 日本へ帰る 日本の鳥は 唐土へ帰る 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬ先に 七草そろえてヤァヤァヤァ
- 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬ先に 七草叩いて ヤーホヤーホ
「四国地方」の歌詞【七草粥の歌】
「香川県」の歌詞【四国地方】
- 唐々々々(とととと) 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に 七草ちょいとはやしましょ
「徳島県」の歌詞【四国地方】
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬ先に スットントン スットントン
- 七草なんなん 唐土の鳥が 日本の国へ 渡らぬ先に 七草なんなん
「愛媛県」の歌詞【四国地方】
- 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬうちに なずな七草 手に摘み入れて トントントン
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らん晩に かちかち
「九州地方」の歌詞【七草粥の歌】
「福岡県」の歌詞【九州地方】
- 七草なずな 唐土の鳥が 日本の空に 渡らぬうちに
- 唐土の鳥と おとらの鳥が 渡らぬうちに 七草叩け
ココがポイント
見つけることができた歌詞だけでもこんなにたくさんのバリエーションがありました。
これだけバリエーションがあると、それぞれの地方の中でも地域によって、更にはご家庭によっても色んなパターンがありそうです。
ご自身に馴染みのある歌詞がどこの地域と似ているかを探してみるのも面白いかもしれませんね。
動画もありました【七草粥の歌】
歌詞を聞くと東京バージョンのようですね。
ご家族で季節の行事を楽しむのにおすすめ
七草以外にもたくさんある日本のしきたりや季節の行事をご家庭でも楽しんでみませんか?
歌詞の意味【七草粥の歌】
ここでは東京バージョンを例に歌詞の意味を見てみたいと思います。
東京バージョンの歌詞
七草なずな 唐土の鳥と 日本の鳥が 渡らぬさきに ストトン トントン
「唐土の鳥」とは【歌詞の意味】
- 「唐の土地の鳥」のこと
昔は中国のことを「唐」と呼んでいましたので、中国からやって来る鳥のことを指しているそうです。
「渡らぬさき」とは【歌詞の意味】
- 「海を越えて渡ってくる前に」という意味
昔は、鳥が害虫や病気を運んできてしまって農作物や人に害を及ぼすという考えもあったため「鳥が来る前に先に手を打たなきゃ」という意味を込めて歌われているそうです。
「ストトン トントン」とは【歌詞の意味】
- 「やって来た鳥を追い返す」という意味があるようです
その意味も地域によって主に2種類ほどあるようで、一つは「叩いて追い返そう(もしくは、やっつけよう)」という意味。
もう一つは「音を鳴らしてビックリさせて追い返そう」という意味だそうです。
「七草の歌」は鳥追いの歌だった【七草粥の歌】
七草の歌の歌詞を見ていくと、「農作物や健康を守るために鳥を追い返そう(やっつけよう)」という意味がある「鳥追いの歌」だということが分かりました。
地域によって歌詞に多少の違いはあるようですが、内容を見ていくと多くの地域で「遠くから渡ってくる鳥を追い返す(やっつける)」という内容の歌詞が見受けられましたね。
いろんなしきたりを調べるのにおすすめ
七草以外にもいろんな日本のしきたりを調べてみるのも面白いかもしれませんね。
七草粥の準備は「七草たたき」という儀式だった【七草粥の歌】
1月6日の夜、七草の歌を歌いながら七草粥の準備をする時に包丁などで七草を切るのですが、これは「七草たたき」と呼ばれる儀式なのだそうです。
「切る」ではなくあえて「たたく」と言い換えているのは、「切る」という言葉は殺生を連想させてしまい年明け早々から縁起が悪いと考えれていたため。
ココがポイント
その他にも、歌を歌いながら七草を叩くことで七草の元気を引き出すという考えもあるようですね。
ゲンを担ぎながらも健康に良い七草の効能をより引き出すという意味が込められていたんですね。
歌詞を見返すと確かに「トントン」とか「叩く」という表現が多く使われていました。
風習の深掘りにおすすめ
風習について深掘りしていくのも新たな発見があって面白そうですね。
まとめ:七草粥で祈るゲン担ぎと無病息災【七草粥の歌】
細かい違いはあると思いますが、「七草粥の歌」の代表的な歌詞をご紹介してきました。
ちょっと探してみただけでも、地域によってたくさんのバリエーションがありましたね。
そしてその意味を調べてみると、
- 人や農作物へ害を及ぼさないという鳥追いの儀式の側面
- 七草の効能を上げて体に栄養を与えるという健康の側面
という風に豊穣や健康を願う意味も含まれていました。
昔の人にとって「七草粥」というのは、健康を守る食べ物であると同時に無病息災を願う儀式でもあったんですね。
それにしても驚いたのが、ほぼ同じ意味と歌詞そしてメロディーで七草の歌が日本全国に広まって定着していたということ。
七草粥は平安時代くらいに定着したとも言われています。
今みたいに情報が世界中に一瞬で拡散されることがなかった時代なのに、ほぼ正確な情報の広がり方や定着の仕方には驚かされました。
たまにはこういった背景を思い描きながら七草粥を頂くのも良いかもしれませんね。
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