毎週述べ50人以上の(現役・元)ホームレスや生活困窮者に会う仕事の中で直接見聞きした事をお届けする「貧困正味の話」。
今回のテーマは「ホームレス支援団体の活動実態」。
ホームレスや生活困窮者などを支援する団体は、その財源のほとんどが寄付金によって賄われている場合が少なくありません。
さてここで「活動内容がヤバい団体があるかも」と言ったら皆さんはどう思いますか?
- 支援団体に協力するのは当たり前だから寄付を続ける
- 思っていたのと違ってたら寄付するか迷うかも
- そんな団体に賛同できるワケないやん
考え方は人によって様々だと思います。
ただ、寄付をした事がある人にはその団体がどんな活動をしているのかを知っておいた方が良いと思いますし、寄付した事がない人にとってもどんな団体かを知るための情報は少しでも多い方が良いと思います。
ワタシがこれまで実際に見聞きしてきたいくつかの支援団体の活動についてご紹介しますので、
- 活動理念に共感できるかどうか
- 寄付するかどうか
などを見極めるための参考の一つにしてもらえたら嬉しいです。
ココがポイント
実際に見聞きした話に限られているので少数派の意見かもしれませんが、これも紛れもない事実の一つです。
全体的な傾向や一般的なケースではない「正味の話」を覗いてみたい方はぜひご覧ください。
もくじ
ホームレス支援団体の活動実態【それでもあなたは寄付しますか?】
いろんなホームレス支援団体の活動を見聞きしてきた中で「これ良いの?」と思った活動内容がこちら。
- 障害者認定のために医者とグルになっている
- ホームレスから預かったお金を返さない
- 生活保護受給後の仕事量を制限させる
- 借金は踏み倒す前提で指南する
他にもたくさんあるのですが、細かく挙げるとキリが無いので特に気になったこれら4つのケースについてご紹介していきます。
その1:障害者認定のために医者とグルになっている【ホームレス支援団体の活動実態】
普通に日常生活を送れている人が障害年金が受け取れるように、医者とグルになって「手心を加えた診断書」を書いてもらっている団体があります。
本来なら障害年金は障害の程度が1級もしくは2級の人が支給対象になります。
障害基礎年金に該当する状態
■障害の程度1級
- 他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできない
- 入院や在宅介護を必要とし活動の範囲がベッドの周辺に限られる
- 身のまわりのことはかろうじてできるもののそれ以上の活動はできない
■障害の程度2級
- 労働によって収入を得ることができないほどの障害
- 入院や在宅で活動の範囲が病院内・家屋内に限られる
- 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても日常生活は極めて困難
- 家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできてもそれ以上重い活動はできない
ご覧のように障害の程度が軽いとされている2級でさえ相当辛い状態の方が受給対象になるはずなのですが、
- ただ働きたくないだけ
- 普通に日常生活が送れている
- うつ病だと主張するが実際は少し性格を拗らせているだけ
などのように、とても障害年金の対象者とは言えないような人でも障害年金を受け取れるように活動している団体が存在するのです。
ココがポイント
ホームレスや生活困窮者は健康面の支援が必要になることが多々あります。
そのため医者に協力してもらっている団体やスタッフとして医者に所属してもらっている団体があるのですが、それをうまく活用?していることになりますね。
もちろん申請の際は、疑いを持たれにくいストーリーの指南、口裏を合わせる等の準備に抜かりはありません。
ホームレス、もしくは路上脱出して生活保護受給者になったけど生活困窮者になった人たちの中にはお金のやり繰りが下手な人が多数います。
そういう人たちが不労所得を受け取ってラクに生きていけるように協力しているワケです。
その結果、本人は自力で生きていく力が育たず、本人以外の負担は減らず、その団体の活動は貧困からの脱却に資することがなく貧困を固定化している状態、つまり貧困ビジネス状態に陥っています。
貧困ビジネスの定義
- 貧困層をターゲットにしていて
- かつ貧困からの脱却に資することなく
- 貧困を固定化するビジネス
人々が善意で寄付してくれたお金に加え、障害年金まで利用しようとしているこの団体の活動は「他者に負担を押し付け続ける支援」と言えるのではないでしょうか。
多少うつ気味であっても頑張って仕事や生活をしている人もいる中、サボりたいだけの人間にお金を回そうとする活動はとても健全とは思えないのですが・・・
【メモ】ホームレスと障害の関係
ホームレスや生活困窮者と障害には密接な関係があると考えられています。
2014年に名古屋で行われた調査では、ホームレスの約6割に知的障害や何かしらの精神障害が認められたという結果が出たそうです。
>>路上生活者114人に精神保健調査 “6割に障害”明らかに(全日本民医連HP)
ココがポイント
こちらの記事でご紹介しているように、ワタシが日頃会っているホームレスや生活困窮者のうち79%もの人に知能の低さや障害などが見受けられました。
-
ホームレスの実態をご覧ください【貧困正味の話】
続きを見る
ホームレスや生活困窮者の中には障害年金の対象になっていてもおかしくない人も少なくないのですが、こういう人たちは申請や手続きをしなかったり、そもそも障害年金というもの自体を知らないことが多々あります。
そういう場合に団体活動に協力している医者や支援団体に所属している医者が障害年金をもらえるように支援する事があるのです。
ココがポイント
障害年金は障害の程度が軽いとされる2級でさえ相当辛い状態の方が対象になります。
本来なら障害年金を受け取る権利があるはずなのに受け取ってないホームレスや生活困窮者は、金銭的だけでなく精神的・身体的にもとてつもない苦痛の中で日々を過ごしている事になります。
正しく支援されればとても意義のある重要な支援となることでしょう。
その2:ホームレスから預かったお金を返さない【ホームレス支援団体の活動実態】
ホームレスから預かったお金を返さない団体があります。
「ホームレスからお金を預かる」とは?
ホームレスには常に、屋外で寝ている時やネカフェでトイレに行った時などを狙われて財布や持ち物を盗まれるなどの盗難リスクが付きまといます。
また、ホームレスや生活困窮者にはお金の管理ができない人も多数います。
盗難リスクを減らす、もしくは無駄遣いによる家計の破綻を防ぐために、団体とホームレスの双方の合意のもと支援としてお金を預かる活動をしている団体もあります。
※それらの団体が預金事業の許可を得ているかは不明
ワタシが聞いた話をご紹介します。
ホームレス状態でも出来る仕事を地道に続け、日々の生活は節約を心がけ、かなりの額を貯めることに成功したホームレスの方がいたそうです。
その方は路上に寝泊まりしていて常に盗難リスクが付きまとうため支援団体の預金を利用するようになりました。
- 身寄りはあるのか無いのかすら分からない
- 携帯が契約できないから電話番号が無い
- 保証人や緊急連絡先を頼める人もいない
- 証明書なんて持ってない
- 住所はもちろん無い
- 就職もしてない
こんな状態なのでアパートを借りるなんて諦めていたそうですが、ある日こんな状態でも借りられそうな部屋が見つかったそうです。
その方は「こんなチャンスもう一生ない」と思い支援団体に預けていたお金を返してもらいに行ったのですが、「今は返せるお金が無い」と断られたそうです。
「少しなら待てるからどこかに預けてるのなら下ろしてきてほしい」と頼んでも「できない」の一点張り。
預かったお金を何かに使ってしまったのかは不明ですが、粘り強く交渉して数日経ってからやっと一部返してもらえたそうです。
しかし時すでに遅し。
その時には入居のチャンスは消えてしまい、結局路上生活からは脱出できませんでした。
その方は「一生に1度あるか無いかのチャンスの時にこんな事が起きるってことは、死ぬまで路上生活する運命なんだよ。もう部屋を借りるのは諦めた。疲れちゃったよ・・・」と悲しげに笑っていたそうです。
あなたはこんな団体に寄付したいと思いますか?
その3:生活保護受給後の仕事量を制限させる【ホームレス支援団体の活動実態】
生活保護受給後の仕事量を制限させる団体があります。
ホームレスの支援は、緊急度や深刻度の高い支援から始まり、その後住まいの支援として物件や緊急連絡先や探し、そして収入面の支援として生活保護申請の同行などを行うことが多いです。
支援団体の中でも自立支援を謳っている団体ならば、生活保護受給後は働ける人には就職を促し、行く行くは生活保護なしでも生活できるように支援していくはずなのですが現実はちょっと違うようです。
ココがポイント
働くことが難しい人の場合は介護や福祉の公的支援につなげるのが一般的です。
ホームレスになる人にはだらしない人やサボりたい人も多いので「不労所得があるのなら働きたくない」と思うのもある意味自然なことだと言えます。
就労については本人が頑張るべき部分ですし、就労指導についても役所にしっかり行ってほしい部分なので必ずしも民間の支援団体が力を注ぐ部分でもないのかもしれません。
しかし、「生活保護費を返還しなくていいように、働くなら○○円までにしましょう」と積極的に指導するのはいかがなものでしょうか?
ココがポイント
生活保護を受給している状態を貧困と考えるなら「貧困からの脱却に資することなく貧困を固定化している」という事にもなるので、この団体の活動は貧困ビジネス化しているとも言えそうですね。
ホームレス状態から脱出した直後で心身ともに疲弊しきっており休息が必要な方の場合なら「無理せずに少しずつやっていきましょう」と落ち着かせるのは分かります。
しかし「貰えるものはトコトン絞り尽くそう」とでも言わんばかりに何年も仕事量の制限を指導し続けている団体もあるのです。
驚きですが
むしろ生活保護費の返還金が増えると危機感を覚えるような団体や支援者までいます。
保護費が少なくなるのは自立に近づいている証拠なのに・・・
何かの負担が減らない支援、誰かに負担をさせ続ける支援は果たして健全なのでしょうか?
その4:借金は踏み倒す前提で指南する【ホームレス支援団体の活動実態】
借金は踏み倒す前提で指南する団体があります。
主にホームレス脱出後、生活保護を受けながらアパートに住んでいる人に多いのですが、お金の管理ができず借金する人や過去に借金をしていた人が少なくありません。
そういう人は以前支援を受けた団体に相談する事が多いのですが、団体側は以下のような感じで指導する場合があるのです。
- 借金は○○年経てば時効になる
- 借金取りが来ても居留守を使え
- 小額の返済や下手な返事で時効が延びるから注意して
- 時効後に意思を伝える手続きで借金が消滅するから大丈夫
借金というと悪徳業者による強引な取り立てを想像する人もいるとは思いますが、元はと言えば自分が借りたお金。
相談された団体はまず「人として借りたものは返すのが当然」だということを教え、それを踏まえた上で返済する方法を考えてあげるのが筋ってもんじゃないでしょうか?
これがまかり通ってしまうとなると、お金を貸した方が損害を受け入れるしかなくなってしまいます。
また、これによる弊害も出ています。
これまで何度か借金を踏み倒した人は
- 返せないなら踏み倒せばいい
- いざとなったら失踪すればいい
- 自分のために他人に損をさせればいい
と平気な顔をして言い放ちます。
そして支援団体の人間はそれを聞いても何も指摘しません。
支援の先には社会の中で生きていくことが待っているため「人として大事なこと」はある程度身に着けておくべきです。
ホームレスや生活困窮者には常識外れな人も少なくないので、周囲の人がそれを教えていかないといざ社会に戻った時に非難や排除の対象になってしまう危険性もあります。
表面的には「自立支援」と言いながらも、実際には非常識を助長し社会に受け入れられない人間を育んでいる活動をしている団体もあるのです。
根底にあるのは公的支援の不十分さ?【ホームレス支援団体の活動実態】
本来ならホームレスや生活困窮者は公的に支援されるべきなのですが、網の目からこぼれ落ちるかの如く支援につながっていない人が少なくないのです。
驚きですが
中には、生活保護の水際作戦や炊き出しを中止させるなどのように国や自治体がホームレスや生活困窮者の支援を拒む事すらあります。
そこを補填しているのが民間の支援団体であり、その団体を支えているのが
- 民間団体の活動に賛同した人
- 困っている人のために何かしたいと思っている人
という方々からの善意の寄付金なのです。
しかし、その寄付金が正しくない、もしくは好ましくない使われ方をされているとなると話は別。
税金などとは違って寄付金はほぼ無償の善意なのです(多少の寄付金控除などが受けられるのかもしれませんが)。
善意で頂いたお金を今回ご紹介してきたような活動に使っている団体はとても不健全だと個人的には思いますが皆さんはどう思われますか?
まとめ:寄付や賛同はよく見極めてから【ホームレス支援団体の活動実態】
「これ良いの?」と感じた支援団体の活動についてご紹介してきましたが皆さんはどう思われましたか?
個人的な感想に基づいているので「別にいいやん」と思う方もいるかもしれませんね。
ただ、ワタシがこれらの団体に寄付していたとしたらこの事実を知ったら悲しくなると思いますし、支援を受ける人にとっても有益で意義のある活動にはなっていないと思います。
ココがポイント
中には実際に寄付したことがある団体も含まれていてとても残念な気持ちになりました。
人によって考え方は様々でそれぞれが尊重されるべきだとは思いますが、事実を知って悲しくなった事例としてご紹介しましたので団体の理念に賛同するか否か、寄付するか否かなどを判断する際の参考の一つにしてもらえたら嬉しいです。